合同会社の役員賞与は損金算入できる?支給時の留意点を税理士が解説

こんにちは!前山会計事務所 所長の前山あずさです。

株式会社よりも設立コストやランニングコストが安く、自由度も高いことから、会社設立の際に合同会社を選択される方も多くいらっしゃいます。

合同会社を設立し、事業が経営に軌道に乗ってきた。
「そろそろ役員にも賞与を支給しようかな」と考えたとき――実は注意すべき落とし穴があるのです。

そこで本日は、合同会社で役員賞与を支給する際の留意点について、
国税庁の文書回答事例
合同会社の社員に対して事前確定届出給与を支給する場合の税務上の取扱いについて|東京国税局
をもとに解説していきます!

✅会社設立を考えており、どういった形態で設立するか悩んでいる方
✅合同会社を経営しており、役員賞与を出そうと思っている方
は必見の内容となっています!

役員賞与が損金算入(=経費計上)可能となる条件

まず、前提として役員報酬(賞与を含む)が損金(=経費)として認められるには、以下のいずれかに該当する必要があります。

定期同額給与
〇事前確定届出給与
〇利益連動給与

このうち、今回のコラムに関係する事前確定届出給与とは、いつ・いくら支払うかを事前に税務署へ届け出ることで賞与を損金に算入することが可能となる制度です。

ポイントとしては、

  • 株主総会(社員総会)等の決議の日(職務執行開始の日後である場合は職務執行開始の日)から1カ月以内 or 期首から4カ月以内 のどちらか早い日までに届出が必要
  • 届出どおりの金額・時期で支給しないと全額アウト

ここまで読んでくださった方は、
「え?合同会社の場合も、期限内に届出をして届出通りの金額・時期に賞与支給すればいいんじゃないの?」
と思われたかもしれません。

しかし、合同会社の場合は、それだけでは足りないのです、、、

合同会社の場合の留意点

前述のとおり、合同会社の場合は、事前確定届出給与の届出をして、届出どおりに賞与を支給するだけでは足りません。
では、何が必要なのかというと、以下の3点が必要となります。

留意点①:報酬の支給について定款に定める
留意点②:定時社員総会を開催し、賞与の支給金額・時期について決定する
留意点③:業務執行社員の任期を定款に定める

以下、それぞれについて解説していきます!

留意点①:報酬の支給について定款に定める

合同会社と業務執行社員の関係は準委任契約と解されており、業務執行社員は無償で業務執行を行うのが原則となります。
そのため、業務執行社員への賞与支給の前提として、報酬の支給に関する定款への定めが必要となります。

留意点②:定時社員総会を開催し、賞与の支給金額・時期について決定する

定時社員総会で業務執行社員の報酬(賞与の支給を含む)の支給金額・時期を決定することにより、当該報酬が定時社員総会から次の定時社員総会までの職務執行の対価であると考えられることとなり、「職務執行開始の日」は「定時社員総会の開催の日」であると考えられることとなります。(加えて、定時社員総会開催の日を業務執行社員の「職務執行開始の日」として定めた方が良いかと考えられます)
事前確定届出給与は、「当期の職務執行期間」に対するものが原則となりますので、「職務執行期間がいつからいつであるか」は事前確定届出給与の前提として重要なポイントとなります。

また、定時社員総会は株主総会に準ずるものであり、定時社員総会の決定は株主総会の決議に該当するものと考えられています。
ここで、事前確定届出給与の届出期限は、株主総会等の決議の日から1カ月以内となっていますので、定時社員総会を開催して賞与の支給金額・時期を決定し、当該決定から1カ月以内に届出をすることが必要です。

留意点③:業務執行社員の任期を定款に定める

合同会社は、業務執行社員の任期について、会社法上の定めは特段設けられていません。
しかし、留意点②で述べたとおり、事前確定届出給与では「職務執行期間がいつからいつであるか」は重要なポイントとなりますので、定款で任期を定めておくことが必要であると考えられます。


ここまでお読みいただきありがとうございました!

合同会社の場合は、役員賞与を支給するハードルが株式会社よりも高いということがご理解いただけたかと思います。。。

前山会計事務所では、税務リスクを十分に考慮したうえでの法人設立サポートを行っております。
もちろん、合同会社の設立サポートも対応可能です。

法人設立を検討されている方は是非お気軽にお問合せください!

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